サイトの海賊シリーズと同設定。脱獄直後くらいで、どぞ。
あとで拍手に移動予定です。
「がっ、は、っ、ごほっ、」
「君、海賊だろ、泳げないってどういうことだい」
「うっせ、体が、うごか、ねぇんだよっ!」
「ほら、そうやって大声出すとまたのどに負担かかるよ」
「髪も邪魔だし、ああ!くそっ」
「はいはい、わかったから」
「わかったって何がだよ」
「つまりは溺れた醜態の言い訳がほしいんだろ」
「違ぇ!」
「あれ? 違うのかい?」
「お前なぁ!」
「ま、君の今の状態考えたら当り前なんだろうけど」
「あ?」
「さっき抱えたときも思ったんだけどさぁ、君異様に軽いよね」
「肉になるようなもんここ数年食ってねぇよ」
「まあ生の兎じゃあねぇ。しかも君、ある程度筋肉は残ってるだろ? 多分体が水より重くなっちゃってるんじゃないかな」
「ああ、道理で浮かないわけだ」
「完全にパニックになってたからなぁ、君」
「くそっ、お前も一度溺れてこい。水掻いてるのに体が沈むんだぞ、恐怖だからな、あれは!」
「俺としては君が騒いだせいで看守に見つかりそうになったほうがはらはらしたけどね」
「あの状態でよくもまあ逃げ切ったよな」
「まあ、夜だし、この辺は地形が入り組んでるからね」
「防衛のための地形が今回はあだになったな」
「海軍側としてはそうなんだろうね。じゃ、君も落ち着いたようだし、そろそろ移動しようか。いくらなんでも濡れぱなしじゃ風邪ひくし、日が昇っちゃったらさすがに見つかるしさ」
「お前、この後どうするつもりなんだ」
「んー、どうしよっか」
「どうせ後先考えないで行動したんだろ。お前はここで少し時間をつぶしてから海軍に戻れ。俺に人質として連れて行かれたけど邪魔になったから捨てられたとでもいえば向こうも疑わねぇだろ」
「……海軍に戻る気はないよ」
「一時の感情論だけで人生棒に振るつもりか」
「たとえ一時のものでも、俺は自分が信じる道を行きたいんだ」
「馬鹿だな」
「そうかもね。ま、君はその馬鹿のおかげで脱獄出来たんだし? ここから町を抜けるのだって君ひとりじゃ難しいだろ。俺が協力してあげる。その代わり、俺も一緒に連れて行ってほしい」
「船も何も持たねぇ海賊についてくるってか?」
「そうだよ、いけないかい?」
「迷惑だ、といいたいところだが、俺もこの状態じゃまともに動けねぇしな。いいぜ、好きにしろ」
「了解。これからよろしくなんだぞ、アーサー」
「こちらこそ、青年将校どの?」
「アルフレッド」
「ああ、そうだったか。じゃあ、よろしく、アルフレッド」

